プロダクト立上げの基本の基 インセプションデッキについて

はじめまして、ecbeingのイトウです。

日頃はecbeingの周辺ソリューションの構築を行っています。

今回はプロダクト立上げの際に、チームメンバーの共通認識をそろえるために

有効な手法「インセプションデッキ」についてご紹介できればと思います。

初めに

皆さん、日々何かしらのプロダクト作成に携わっている思いますが、どのように始めてますか?  個々人でプロダクトを作成するのであれば、自分の頭の中にあるコード、サービスなどをアウトプットすれば良いと思います。

しかしながら、チームでプロダクトを作るとなると話は別です。 複数人が集まって、プロダクトを作成するためチーム内の共通認識を持つ必要があります。

その時、有効な手法が「インセプションデッキ」となります。

「インセプションデッキ」はお決まりの10個の質問があり、本記事ではその質問に対して何を考えるのか紹介したいと思います。

インセプションデッキ 10個の質問

1. 我々はなぜここにいるのか

なんで私たちはチームで集まって、仕事しているんだっけ?ということを考えます。

集まったけど、何のため、誰のためにプロダクトを作成しているのだっけ? ということについて考えます。

↑ 私がインセプションデッキのなかで、一番好きな項目です。

2. エレベーターピッチ

エレベーターピッチは短いプレゼン技法としても有名ですが、30秒以内にプロダクトをアピールするなら? ということを前提に作成するプロダクトの説明を考えます。

よく使われるもので以下のようなテンプレートが用いられます。

よくある例:

【XXX】というプロダクトは、【YYY】を実現するための【ZZZ】です。

これは【ααα】という問題を解決でき、【βββ】ということを実現して、【γγγ】に貢献します。

3. パッケージデザイン

プロダクトを広く使ってたり、認知していただくために、どのようなことをアピールすればよいかを考えます。 また、プロダクトキャッチコピーやロゴ、プロダクトの売りについても考えます。

4. やらないことリスト

このプロダクトで「やらないこと」について考えます。

やりたいことや、何をするのかは決まっていることはありますが、「何をやらないか」は決まっていないことが多いです。

「やらないこと」を考えることでスコープを明確にします。

5. ご近所さんを探せ

プロダクトに関わる関係者について考えます。 プロダクトの作成チームはもちろんですが、チーム外の関係者、ステークホルダーの洗い出しを行います。 競合するプロダクトが存在する場合は、そのプロダクトについても考えていきます。

6. 解決案を描く

プロダクトで採用するプログラミング言語、ライブラリなど検討します。

詳細なものは必要ではないですが、概要レベルでアーキテクチャについても記載します。

7. 夜も眠れなくなるような問題

プロダクトに関わる重要な問題や心配事、予測できるリスクについて、洗い出します。

プロダクト開発をする中で、不安要素は多々出てくると思いますが、可能な限り洗い出して問題が起きたとき対処できるようにします。

8. 期間を見極める

いつまでにプロダクトを完成させるのか?大まかなスケジューリングを行います。 期限を見極めないといつまでもダラダラと開発してしまうので、せっかくの良いプロダクトを作ろうとしていても時間もとともに価値が下がってしまいます。

9. トレードオフスライダー

プロダクト内で優先すべき、判断基準を考えます。QCDに加えて、スコープの範囲を決めます。

よくある例:

予算  :予算内に収めるのか? min < - ● - - -> max

納期  :期日までに納品するのか? min < - - - - ● > max

品質  :初期のプロダクトとしてどのくらいの品質にするのか?min < ● - - - -> max

スコープ:求める機能を全部作るのか? min < - - - ● - > max

10. 何がどれだけ必要なのか

プロダクトを作るために必要となる、予算やチーム構成について考えます。 このプロダクト作成にあたり、どのようなスキルを持ったメンバーが必要なのかを考えます。

最後に

「インセプションデッキ」について、ご紹介しましたがいかがでしょうか?

10項目ありますが、全て考えるとなかなか大変ですよね。私もプロダクト立上げ時に「インセプションデッキ」を書いたことがありますが、いくつかの項目については頭を悩ませました。 しかしながら、「インセプションデッキ」を書くことで、このプロダクトってどんなものなのかが、客観的にわかりやすくなった印象です。

また、当社内でPoCを実施するときに「インセプションデッキ」を使用したこともあるのですが、すべての項目について考えるのは難しいです。 その為、PoCで「インセプションデッキ」を使う場合は、以下の5つの項目に絞るのが効果的です。

  • 我々はなぜここにいるのか?
  • エレベータピッチ
  • やらないことリスト
  • トレードオフ・スライダー
  • 期間を見極める

これからプロダクト立上げする方は是非、「インセプションデッキ」を作成していただければと思います。 また、既存プロダクトがある場合は「インセプションデッキ」を改めて作られるのもおすすめですので、是非作成していただければと思います。

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