はじめまして。R&D部門でUXデザインしています。
岩下です。
普段はプロダクトのUX想定やプロトタイプを作ったりデザイン寄りの
フロントエンドコーディングも行っています。
また、エンジニア向けにUX入門の勉強会をしたりしていて、その時の内容を元に
今回は、十人十色で語られるUXについて定義付けをし、ノンデザイナーでも
向き合うことが出来るきっかけになるようなお話をします。
きっかけ
色々な打ち合わせで飛び交うワード「UX」
「この機能のUXを良くしたい」
「UX改善しよう」
「UI/UXが…」
よく聞くフレーズですが、お互い同じ目線で本当に話せているでしょうか?
ユーザビリティと混同していないでしょうか?
UIとUXがセットになって一緒くたになってないでしょうか?
ユーザーの体験(UX)を改善する!
この機能のユーザーの体験(UX)を良くしたい!
日本語にしてみると珍妙なことになっていると思いませんか?
実はあやふやな定義で語られるUX
自分が認識しているUXの定義と自分以外の各自が認識している定義は
本当に一緒でしょうか?
そこでUXの基本概念を振り返り
部内でのUXを定義し、意識統一すれば
会話のズレがなくなるのではないでしょうか?
さらに、
洗練されたUI、こだわり抜いたUIが
必ずしもユーザーに体験してほしいことを体現できるとは限らないのです。
なので言葉はちゃんと定義しないといけません。
ちゃんと定義された共通言語で話し合い、作るのだから
体験してほしいことを提供できて、扱いやすく見やすい物が自然と出来上がるはずです。
じゃUXを一言で言うと
「利用者の経験または体験そのもの」
額面通りに受け取ればいいのですけど…
残念ながら人によって解釈が入り
色々な使い方がされているのが現状です。
※経験や体験そのものであって得られた結果ではない
※経験と体験はイコールではない
まずはUXの歴史
「UX(UserExperience)」という言葉の登場は1990年台だと言われています。
しかし、利用者体験の概念は更に遡ることが出来ます。
1990年に刊行された「誰のためのデザイン?ー認知科学者のデザイン理論」ドン・ノーマン著
1995年 ヤコブ・ニールセン ユーザビリティに関するコラム
1997年 Web Navigation:Design the User Experience (オライリー本)
2005年ごろにはすでにバズワードに
その後、更に加速していく…
最近のUXバズワードを分類してみた
UXデザイン
UXをユーザー中心設計(UCD)とか人間中心設計(HCD)とか
いわゆるユーザビリティと混同しはいけません。
※UCDやHCDは想定する体験を設計するための手段であって体験ではないです。
UXとデザインの本質を踏まえると
利用者の経験・体験自体をデザインすることは出来ない。
なぜなら経験・体験にはシステム、状況、利用者が揃うことで生じるためです。
- UXデザイン = 想定する体験を実現するためのデザイン(設計)をする
- UI=UXだとか、UIとUXがセットになっている
UXとマーケティング(マーケットイン)
マーケットインでデザインすることだ
CX(顧客体験)なんて言葉もあります。
UXと組織
部署名になる「UXグループ」「UI/UXグループ」とか
役職名とか「UXデザイナー」=利用者体験 意匠図案家(いしょうずあんか)
UXをデザインすること
体験をデザインする。
もっと具体的に話をすると…
UXは3つの異なる視点から捉えることができる
現象としてのUX
UXとは何か?をあきらかにすること
UXを取り巻く状況や因果関係を明らかにすること
現象としてのUXの特徴
- UXは一般的な概念としての経験の一部です。 UXはシステムを通じた経験であるため、より限定的です。
- UXはシステムとの出会いを含みます。 積極的利用、 個人的利用だけでなく、 例えば他者がシステムを利用するのを観察するなど、 より受動的にシステムと関わることも含みます。
- UXはある個人の固有のものです。
- UXは過去の経験とそれに基づく期待に影響されます。
- UXは社会的、 文化的な文脈に根ざしています。
出典:UX白書
つまり
仕組みを通して得た経験や体験のことで
そこには自分が置かれている環境やこれまで経験したことに基づく期待値の影響もありますよ。
UXではないもの
- UXは人間に焦点を当てており、 技術主導のものではありません。
- UXはあるシステムを単独で利用する個人だけに関するものではありません。
- UXは認知行動分析やユ ーザ ーを「人問情報処理系 (h uman inf ormation processor)」として観察することではありません。
- ユーザーが感じるユーザビリティはUX全体に影響を与える典型的な側面ではありますが、ユ ーザビリティとUXは同義ではありません。
- UXデザインは、 インターフェイスデザインより広範囲なものです。
- UXはブランド経験/消費者経験/顧客経験とお互いに影響を与え合うものの、それらの概念と同義ではありません。
出典:UX白書
つまり
仕組みありきではないですよ。
人間観察をすることではないですよ。
UXデザインはUIをデザインすることではないですよ。
研究分野としてのUX
現象を研究すること
デザインするための手段を見出すこと
実践としてのUX
特定のUXを実現するためのデザイン
- 普段、我々が行っているのが「実践としてのUX」で見た目や仕組みを作っています。
- 「現象としてのUX」を理解し「実践としてのUX」に取り組まないと、話している内容や施策が使い勝手いいとか利用しやすいといった、ユーザビリティやアクセシビリティなどになってしまうのです。
UXを言及する場合によく取り上げる3つの視点
Experienceing = 体験する
仕組みを通して体験したことや感情
A user experience = 経験する
特定の期間があり
- Webサイトを閲覧する
- 物語のを観る
- 見始めたら見終わるまで
- 使い始めたら使い終わるまで
- 経験したこと
- 経験の蓄積
なのでUXについて議論する場合は期間(何をどうするまで)を明確にしましょう。
体験と経験の違い
体験と経験が出てきましたが違いはなんでしょう?
体験:直接、自分自身で見たり聞いたり触ったりして実践したこと
経験:実際に自分自身で見たり聞いたり触ったりして身についたこと
経験値とは言うけど体験値とは言わない
経験があるとは言うけど体験があるとは言わない
実体験とは言うけど実経験とは言わない
でも英語にすると実は…両方共「Experience」
ごちゃ混ぜなのです。
「Experience」の訳し方がややこしくしている一因であるとも考えられます。
Co-experience = 集団経験
仕組みとの出会いと合わせて集団の行動・態度が重要になる
利用者個人ではない
まとめ
我々が考えるUXとは
ある一定の期間に仕組みを通して得る経験
エンジニアだってクリエイター!
体験を考えよう!
考えた体験を実現するためのテクノロジーを使おう!
※言葉を並べてよくよく見ると意味が分からなくなるけど市民権は得ているのが現状
※本質と流行を混同せずに本質を分かった上でその時、その時代のビックウェーブに乗って欲しいです。
今日はここまで。
また、お会いしましょう!
岩下
~一緒にプロダクトを開発する仲間を募集中です!!~